もうすぐ春です。春がくるというのを英語で表現すると、「SPRING HAS COME」といいますね。
直訳すると「バネ持って来い!」
まあ、この話はどうでもいいとして、春になると僕は無性に「Bill Evans Trio/Waltz For Debby」が聴きたくなります。でも普通に聴くのはそろそろ飽きてきました。
そこで今日は、もっと楽しくこのアルバムを聴くためにオープニングの「My Foolish Heart」からエンディングの「Milestones」までにいろいろと「寄り道」しようと思います。
そうすると魔法がかかったように1曲・1曲が映えてきます。
名付けて「Waltz For Debbyでたわむれリミックス」
Bill Evansにダメだしされないようそこんとこ原曲の流れに忠実に進行しようと思います。まぁ脱線してもいいんですが…
んじゃ…いってみようかっ!
My Foolish Heart/Bill Evans Trio▶Waltz For Debby/Bill Evans Trio
この曲さあ、もう2曲でひとつみたいなとこがあって、切っても切り離せないところがあります。いってみれば「My Foolish Heart」がおもっいっきり長いイントロであって、ようやく本題の「Waltz For Debby」にはいる感じ。長〜いトンネルを抜けたらそこは雪国。イントロが超長くて、メロディーに入るまで1分8秒もかかる「マツケンサンバ」のノリみたいな(笑)
Pizzicato Five/Shopping Bag/Overdose - 収録▶Ev'ry Little Bit/Millie Scott/Love Me Right - 収録
ここから少し寄り道。たくましいBASS音が響き渡ります。いいですね〜ぇ…♪
恋人がいなくてもわたしはそんなにこまらない〜
恋人がいなくてもわたしは恋をするけど〜
ここさあ、「恋はするけど恋人はいらない」じゃなくて「恋人はいらないけど恋はする」ってのがグッときます。
「お腹へったけどドーナツはいらない」じゃなく「ドーナツいらないけどお腹へった」みたいな(笑)
はい。つぎいこっ。
Ev'ry Little Bit/Millie Scott/Love Me Right - 収録
ん〜ッ…非常にチープクリスタルです。
しっかしアイランドレーベルさん。このさあ後半のサックスソロどうにかならなかったですかね〜。メロディーは最高にいいんだけど、プレイヤーがなかなかのヘタクソです。予算値切ってその辺のミュージシャン使った感じまるだしじゃん。もうちょっと予算枠とってケニー・ギャレットあたりに吹いてもらったほうが名演になってたみたいな〜(笑)
Short Count/Lee Morgan/The Sixth Sense - 収録▶Josie/Steely Dan/Aja - 収録
ひえ〜っ。ひゅ〜カッチョイ〜!
Lee Morgan、Jackie McLean、Cedar Walton、Billy Higgins等によるセクステット。「The sixth sense」とか「Psychedelic」とかいろんな名曲あるけれどなかでもこれがいっちゃんカッコいい!このアルバムが発表されたのって確か1970年。Lee Morgan…60年代から全然変わなんないですね〜。Lee Morganてほんとモダンジャズ一辺倒なところがあって最初から最後までどこも寄り道しませんでした。老舗のたれは継ぎ足し継ぎ足ししてますっ! その道40年の職人の変わらない味みたいな〜(笑)
はいっ!次っ!
Josie/Steely Dan/Aja - 収録
もうこのサウンドがさあ…限りなく0%に近いくらい無駄な皮下脂肪全部とりましたって感じですね〜。このジャケット、最初見たときに何かわかんなくてよく見たら人間で、日本のモデル界の先駆け的存在の山口小夜子で…「Aja」ってさあアジアって意味ナの?
ず〜と「Aja」って「赤」って意味かと思ってましたね〜。
Aja=エイジャ=アジア? ちょっと無理あるみたいな〜(笑)
Da Cor Brasileira/Joyce/Feminina- 収録▶Detour Ahead/Bill Evans Trio
ここでボサノバに寄り道して、どこで油売ってんだって感じで無事に軌道修正。下手すればあやうく道に迷ってアダルトオリエンタルロックの森に行ってしまうところでした。(すかさずボズ・スギャッグスとかに行きたいのですが)ようやく3曲目に到着しました。スムーズですね〜。この曲のつなぎ目が、午後のひととき=午後の紅茶みたいなサウンドです。夕暮れまであとすぐです。
愛にさようならを/The Carpenters/A SONG FOR YOU - 収録▶ゴロワーズを吸ったことがあるかい/かまやつひろし/あゝ、我が良き友よ - 収録
実に見事です。おそらく私的に20世紀のPOPS市場最高のハーモーニー。ほんとはさあ「遥かなる影 - CLOSE TO YOU」あたりをもってきたいところなんだけど、あの曲は後半泣いちゃうからボツ。「愛にさようならを」はさあ、後半のギターによる盛り上がりが、もう学生運動の叫びみたいなところがあってとてもいい感じです。学生運動なんて関わってないのに言うなよ〜みたいな〜(笑)
はいっ!次っ!
ちなみにゴロワーズってタバコの事ね。このホーンセクションさあ、実は「Tower Of Power」が演ってて、Tower Of Power feau. かまやつひろし名義でもいいくらいの曲です。タワー・オブ・パワーって言ったら、80年代はヒューイ・ルイス・アンド・ザ・ニュースのホーンセクションだった人たちです。どういういきさつでこのメンツでレコーディングしたのか不明ですが、この曲にはムッシュ以外のボーカルは考えられません。これを橋幸夫とかがやったらやっぱり「恋のメキシカン・ロック」のノリだよなあ〜みたいな〜(笑)
永遠に/吉田美奈子/FLAPPER - 収録
はい。唄うドラムとは何か?というのを絵に描いたような曲です。ハイハットとバスドラとタムがまるで生きているかのように歌声に呼応します。普通の人がこれをやったら、すぐに喧嘩してしまうでしょう。楽器のテクニックも重要ですがそれぞれの楽器が唄っている神がかりな曲ですね〜。いうよね〜みたいな〜(笑)
はいっ!ネ〜クッスト〜!(アメリカのマクドナルドの販売員風に)
My Romance/Bill Evans Trio▶Some Other Time/Bill Evans Trio
はい。非常に音数の少ない2曲です。しかし非常に美しい。なんなんでしょう。「間」でメロディーを構築している感じです。「Some Other Time」なんてもう小節の節目が全然わかりません。律動の壁がないこのタイム感。メトロノームが確実に頭の中に埋め込まれています(笑)。
Nights Over Egypt/The Jones Girls/Get as Much Love as You Can- 収録▶A Night In New York/Elbow Bones & The Racketeers/NEW YORK AT DAWN - 収録
「ナイト・オヴァー・エジプト」…直訳すると「エジプトの向こう側」本格的アラビアンナイトですねえ〜。山口百恵さんの歌にも「さよならの向こう側」というのがありましたが全然曲調が違います。ナイツオバッイジュッ!ナイツオバッイジュッ〜!と「 Egypt」の発音が……本当にこの発音で正しいのでしょうか(笑)
そろそろこのあたりで盛り上がっていきたいのですが…ミヒマルGTとか…AKB48とかいってみようか!「逢いたかった〜!逢いたかった〜!逢いたかった〜!イエイッ!」そこいっちゃったらもう軌道修正できないみたいな〜(笑)
爽快です。ビッグバンド風にアレンジにしたご機嫌ポップスの王道をいくこのメロディ〜。舌ったらずさがたまりません。ミュージシャン名も舌を噛みそうな名前です。「エルボウ・ボーンズ & ザ・ロケッティーズ」。アルバム邦題は「ニューヨークの夜明け」ときました。
なんかプロレスの技みたいな名前です。
「決まった〜! エルボウ・ボーンズ & ザ・ロケッティーズ〜ゥ」。みたいな〜(笑)
はい。つぎに行ってみましょう。
One Hundred Ways/Quincy Jones/THE DUDE- 収録▶One Hundred Ways/David Sanborn/Straight To The Heart- 収録
オリジナルはクインシージョーンズのオッサンなのですが、サンボーンが調理するとこんな感じです。
なんでしょう。このさわやかさ。スプライトを頭からかぶったような清々しさがあります。邦題はなんだろ?「 Straight To The Heart」=「ハートに直撃」=「おまえにメロメロ」でしょうか?魔法のようなサンボーンのサックスにメロメロです。数あるサンボーンのカバー曲でも最高域に達する名曲です。
このライヴアルバムさあ、マーカスとかサンボーンからもうやりたいように弾いて〜みたい感があって非常に楽しいいんです。でも弾かない。弾くとこだけかっちり弾いてあとはいっかりサンボーンを持ち上げてます。この頃のライブ録音て、会場で録った音に対してホーンとか味付けしててスタジオで再構築してるんです。
この手法はサンボーンより1年早い、83年の吉田美奈子さんの「IN MOTION」にも取り込まれています。
Uptown/吉田美奈子/IN MOTION- 収録
ライブ音源を持ち帰り編集。持ち帰りしたビックマックを家で解体して好きな具を入れて食べる感覚に等しいかも(笑)。ポテトはいつまで平日150円均一ですか?(笑)
このアルバム両方買って1ヶ月くらい毎日聴いてみてください。もうそのへんのフュージョンなんかとても聴けません。
おっと〜!そろそろ佳境ですね〜。おもいっきり違う路線いっちゃおうかあ〜。ほんとはさあ、もっと寄り道したいんだけどさあ。
はい。つぎはこれです。
glitter/柴咲コウ/glitter - 収録▶Milestones/Bill Evans Trio
笠井紀美子さんとか余貴美子さんとか柴咲コウさんとか顔立ちが似てますね〜。この三連のリズムにおもわず身体が揺れます。ふわふわ〜とね。なんかメリーゴーランドにのっているような気分です。と思ってたら歌詞にちゃんとメリーゴーランドとでてきました。Bill Evansに始まって、なにかこう遥かなる宇宙を旅して、今までのは全部夢だったのっ?って気分で。Bill EvansにはじまりBill Evansに終わる。みたいな〜(笑)
はい。ラストです。もう文句なしに素晴らしいエンディング。デラックス盤あたりでは「Porgy (I Loves You, Porgy)」が収録されて、にぎわっていますが、あれは黙秘します。
この「Milestones」聴いちゃったらもう他のバージョン聴けません。
このように名盤も寄り道して聴くとまた新たに雰囲気が変わって楽しいと思います。もちろんアルバムにこだわらずに別世界へ移行する聴きかたもあります。「TAKE FIVE/Dave Brubeck」とかたまに聴いてたらハッとしますが、別の曲で繋がれていたりすると「やっぱりかっこええなあ」と改めて認識してしまいます。次は出発曲から決めて、終着曲に向かうまでの「旅」を楽しむなんてドぅ?
「音楽」って不思議〜みたいな〜(笑)
はい。今日はこれでお別れです。「ジャズ」と「POP」の奇跡の融合。
ドナルド・フェイゲンも苦虫つぶした顔になるくらいわかりやすいサウンドです。
The Crusaders/Street Life/Street Life - 収録
さっっ!みんな、踊っちゃってっ!踊っちゃってっ〜。
(筆:大友)