WEB2.0時代のシーラカンス

最近、Amazon からお勧めCDの案内メールがよく来くるようになった。

サイト閲覧者がどんな商品をよく見ているのか、どのページの前で立ち止まっているのか、これはシステムによって完全に見張られていて、データベースに組み込まれていく。広告はそれを元に個別に配信されるしかけだ。何か自分の趣味を見透かされているようで気色が悪い。(アダルトサイトから案内が多い方は、やはりそちらをよく見ている証拠・・・○○さ〜ん、被害者の顔をしちゃいけないよ・・・笑)

最近でいうと、Eliane Elias の新譜 "Light My Fire" が1,050円でどうでしょう?というのが来ていた。二日後に見たら1,500円、今日見たらもう2,500円(輸入版2,187円)に跳ね上がっている。これってどんな商売なんだろ?

今日は Kenny Burrell の "Midnight Blue" が1,090円、Joe Pass の "Virtuoso2" が1,117円、Wes の "Full House" が1,442円 ・・・等々、バナナも気を悪くするような叩き売り状態だ。

「CDの時代はとっくに去ったよ、ましてやレコード集めなんて・・・」と知人のミュージシャンがかなり以前に呟いていたのを思い出した。あれは Blue Note の1,500円シリーズか RVG 1,000円 シリーズが出たころだったか・・・そう、いまに始まったことではないのだけれど。
その頃は、名盤が安価で買えれば言うことないじゃない?!という程度の印象だったが、なぜかかここに至って、こんなのでいいのかという疑問符がフツフツと湧き起ってきた。誤解のないように書いておきたいが、ボクが以前より金持ちになったわけではない・・・ボンビー度合いで言えばますます寂しい状況になってきているだ。

もう名盤もへったくれもない・・・
どうなんだろうねこんな時代?とにかく売って儲けたい人の商売合戦だけが加熱している様が気になる。これが夢のWEB2.0時代のマーケットの景色なのだろうか?!

時代の流れは想像以上に速い、そして益々加速しているなと感じてならない昨今であります。
かくしてジャズファンなんてものは、近い将来、いやもうすでに、生きた化石シーラカンスの扱いを受けているのだろうかね・・・。


・・・ここまで書いたところで訃報が入ってきた。Ray Bryant がお星さまになってしまったとのこと。
寂しいなぁ・・・
でもしかたないよね・・・モダンジャズの歴史をつくり上げてきたミュージシャン達はほとんどが 1920〜30年代の生まれ、みんな八十路の翁でしょう。Rollinsなどは例外と言わなければならない。




(筆:しろくま)




海を見ていたジョニー

五木寛之作の小説「海を見ていたジョニー」の作品の中に登場する黒人少年兵士「ジョニー」が、ベトナム戦争で精神を病み、もはや自分にジャズを演奏する資格など無いと悩み、最後には海辺で自殺するという短編小説。

五木さんは京都のジャズ喫茶「YAMATOYA」をこよなく愛し、彼は幼いころ母親に連れられてある敵兵士「ロシア人」の口ずさむメロディーを聴くのである。五木さんは知る人ぞ知るジャズ評論家でもある。

五木寛之さんの書く小説の中で、ジャズが演奏されるシーンの描写部分は、音が聞こえてくる小説と言われるくらい追力があって臨場感があります。「ジャズは人間だ。よい人間だけが、他人を感動させることが出来る。人間が駄目になった時、演奏も駄目になる.....」 ジョニーの心の葛藤をもとにジャズは良い人間だけが演奏をやれるのかどうか、その追求が小説の中で展開されていきます。

ここで海を見ていたジョニー(講談社文庫い1−17)〈文庫)より抜粋を紹介する。
ここで作者が示す問いはシンプルだ。人の心の良し悪しと、芸術の良し悪しとは重なるのか、という問いだ。心地良い音楽はよく「天上の音楽」などと形容される。では、地上に生きる者は、そこに憧れるしかないのであろうか。もしくはジョニーのように絶望し切ってしまう外ないのだろうか。

芸術と倫理の問題は、冷めた目で「関係ないよ」と言ってしまうのがクレバーな対応であるかのような考え方が普及しているようだが、この本を読めば、かつてそのような考え方を疑問に感じた人がいて、その問いは今もまだ切実なのだということが分かるだろう。


ここで私のピアノの恩師である坂元輝トリオ(通称テリーハーマントリオで数々のLPをリリース)の過去を振り返り、陸前高田のジャズ喫茶「ジョニー」でのライブ録音を紹介する。
坂元輝ピアノトリオの1980年録音で、CDのタイトルは「海を見ていたジョニー」。五木寛之さんの作品と同名であり、坂元輝氏は演奏前に五木さんの作品全てを読み漁り、本が擦り切れるまで何度も読んだそうである。

この坂元輝氏のCDは、日本人復刻ブームの昨今、数多くの埋もれた名盤たちが世に出される中、その中でも内容、レア度も合わせて間違いなく上位にランクされている。坂元輝が盛岡のジャズ喫茶「ジョニー」に残した名演の記録と辿る.
 「レフト・アローン」
 「マイ・フェイヴァリット・シングス」
 「夕やけ小やけ」
 「枯葉」
選曲が優れていて日本的抒情性が溢れ、ほとばしる情熱、まさに魂の演奏!ジャズ批評2006年5月「和ジャズ特集」号の名盤200選にも紹介されている。私はこのCDの存在をかなり前から知っていたが東日本大震災でふと思いだしこのCDを入手しました。


ロングセラーを続けるこの「海を見ていたジョニー」は郷愁を誘う心地よいフレーズ、日本的抒情性、綺麗な和音、日本人離れをした即興演奏。テリーハーマンとして多くのラウンジ作品をリリースして、多くのジャズファンを虜にしている。
坂元輝氏は現在東京高田馬場のマンションと京都のジャズスクール(アン・ミュージックスクール)を新幹線で往復する生活を今も続けていて、数多くのプロミュージシャン(Jazz Vocalist,Jazz Pianist)を世に送り出してきた。しかし、ある日多忙のためか演奏活動はピタッと止めてしまっている。

もし、ジャズの現場に復帰すれば53歳の独身ジャズピアニスト坂元輝氏は、私のmusic promotion所属のピアニスト「今田あきら」も遥かに超越した存在になるに違いないし、多くのジャズファンがその日を待ち望んでいる。東京音楽大学作曲科卒の坂元輝の才能を私の手でもう一度名盤「海を見ていたジョニー」を超越させたいと密かに構想している最中である。坂元輝氏のLP「ブルーアランフェス」は私の愛聴盤でもある。

最後にこのCD「海を見ていたジョニー」をプロデュースした照井顕氏は盛岡でジャズスポット「開運橋のジョ二―」のオーナーであり、彼の夢を30年ぶりに実現させたのがCD「海を見ていたジョニー」である。私は胸騒ぎがして彼とコンタクトを取っていますがもしかしたらあの東日本大震災で帰らぬ人になったのかと思うといてもたっていられなくなります。照井氏のご無事を祈りながら筆を閉じます。
 

(筆:高田)


SLジャズトレイン大井川

日本の鉄道史上初めて大井川鉄道(静岡県)にSLジャズトレインが走ったのは1983年のことである。
この壮大な夢とロマンを実現させた人物はジャズ評論家の小川正雄氏で、オーディオ評論家としても活躍された方である。日本の老舗ジャズ喫茶が長い歴史に終始符を打ったように、このSLジャズトレインも鉄道の数奇な運命と共に消え去りつつある今日、せめてその内容をTJCブログに掲載したいと思い、お二人の協力を得て記事と写真を頂きました。

大阪在住の「大阪ジャズフレンズ(OJF)」元プロデューサー上田孝史氏、私の友人であるジャズ歌手香山さん。香山さんは女性プロカメラマンとしても活躍中である。お二人にはこの場をお借りして感謝申し上げます。

さてSLジャズトレインとは大井川に沿って機関車を走らせ、全車両を借り切りきってディキシーを聴きながら北上し、寸又峡温泉に一泊するというジャズとSLファンには堪えられない素敵な思いでを永遠に残す企画である。このSLジャズトレイン実現に大きく貢献されたのが上田孝史氏である。

さて、1983年のSLで演奏されたミュージシャンを紹介します。バンジョーは宮崎忠一が率いるディキシー・キャッスルがこのツアーのメイン・バンドである。トロンボーンは松岡優滋、ヴォーカルは森サカエ、他にジャズ評論家の油井正一氏・いソノてルヲ氏という豪華な顔ぶれである。

http://www2.odn.ne.jp/~cfj04890/
http://bobcat.blog.so-net.ne.jp/

上記二つのサイトは上田氏のブログである「bobcat swingin' blog」であり、是非訪問してみて下さい。ジャズヴォーカルに関心のある方は必見のサイトです。このサイトを訪問すれば素晴らしい記事と写真に遭遇するでしょう。上田氏は「ジャズ批評」と言う雑誌にも記事を沢山掲載されています。私はこのSLジャズトレインが何時の日か再び大井川を走ることを願っている一人です。


(筆:高田)


73年間の営業に幕・・・横浜「ちぐさ」

関西にお住まいの皆様に、是非お知らせしたい日本最古の老舗ジャズ喫茶「ちぐさ」のレポートです。皆さんはご存知でいらっしゃいますか?

横浜は桜木町野毛山に「ちぐさ」という大変小さなジャズ喫茶が、都市開発の波にのまれ、74年に及ぶ歴史に幕を閉じたことは朝日新聞で大きく取り上げられました。初代オーナーの吉田さんが亡くなられて、そのあと奥様がお店を継ぎましたが都市開発という無情な仕打ちに、店を閉鎖したのは2007年1月のことです。

秋吉敏子さんがこの店に幾度となく通い、アドリブを採譜したほど貴重なレコードが6000枚を超え、このレコードを聴きに日本のTOP JAZZ MUSICIANがお店に来ては、レコードに耳を傾けたそうです。

私も5回ほどこの店に行ったことがあります。頑固おやじの吉田さんがテーブルに座ると、リクエストせよとテーブルの上に大学ノートに手書きで書かれた曲名リストをドサッと置いていきます。この6000枚のLPは一体誰が持っているのか気になります。吉田さんが亡きあと、このLPを巡って騒動も起きたほどです。

朝日新聞の記事をコピーすると著作権違反になりますので下記サイトを訪問下さい。
http://janzy.cocolog-nifty.com/blog/2007/01/post_6c5f.html (朝日新聞記事)
http://blog.goo.ne.jp/h-babu0717/e/fe1fa8dad0186b15a2a7aa45b24a3ae7

このジャズ喫茶「ちぐさ」の開店は昭和8年で、パソコンもインターネットも存在しない世の中
で、この大量のLPを一体どうやって入手されたのか知りたいものです。


(筆:高田)


Billie Holiday を高価なオーディオ装置で聴くな!

いろんな方が読まれているこのブログにおいて身内ネタで恐縮だが、TJCのメンバーである Jazz in Heart さんから、会で集まる場所があれば使ってくださいとの有難いお申し出があり、真空管アンプが持ち込まれてきた。LUXKITの往年の名器、A3500だ。ズシッと重たいこのアンプを抱えると、オーディオが趣味の王様であったころのことがあれこれ想い出され、それだけでウルウルっと来てしまう。

さっそくパワースイッチON・・・真空管のヒーターが淡いオレンジ色を放ち始めるのを待って、Nat King Cole を鳴らしてみる。やっぱり、球(タマ)のアンプはいいねぇ。何が違うって、やっぱり音が柔らかくてふくよかに聴こえる ・・・ それが単に視覚的な要素や、思い入れだけから来る錯覚であろうとなかろうと、そんなことはどうでもいい。いい(好い)ものはいい(良い)んだから。

30年近く前に手作りされ、特にメンテナンスもされていないように見受けられるアンプだが、スイッチオンで何の問題もなくすばらしい音が溢れ出てくる。いいかい、若造ども!チミ達が遊んでいる"破粗困"なるもの・・・5年もすれば昇天している(壊れなくても時代遅れになる)ようなおもちゃとは出来が違うんだよ。(恐ろしい単純比較してますか・・・アタシ?)

横から家内が一言・・・
  ビリー・ホリデイとかが似合うんじゃないかしら?

  いやいや・・・Billie Holiday にはこのオーディオ装置ですら似合わないのだよ・・・。

というわけで、引っぱりだしてきたのが、左写真の真空管ラヂオだ。Billie Holiday はこれで聴くのさっ。(なぜにここだけ気取った文体?)

昭和30年前後の作と思われるSANYO電機製SS-55型という5球スーパーを、崩れかかった筺体から引き摺りだし、裸で鳴らす。スピーカーのコーン紙などもうぼろぼろで、二千年前の古墳から発掘されてきた壁画と同じように扱わなければ、目の前で霧散してしまう・・・そんなラヂオだ。こんな現役ラヂオの前では、LUX君もまだ駆け出しの青二才みたいに見えてくる。

音源は写真右下に写っているTASCAM の ICレコーダーに入っており、そのライン出力をAM変調器に入れてやる。いわばミニラジオ局なのだが、音をいったん電波にして、ラジオのアンテナ端子にぶち込む。

まあ、手の込んだ聴き方!しかも Hi-Fi (この言葉自体も死語)からは程遠い Lo-Fi の世界だ。時々ピチピチと真空管が断末摩の悲鳴を上げるし、おっ、逝っちゃったかなと思うほどの沈黙が来てはまた突然鳴りだしたりする。

いまにも崩壊しそうな、なんとも儚いラヂオなのだが、これに Billie Holiday の歌が実によく合うのだ。これはもうオーディオ論なんて次元では語れないような気がするのね・・・。
Billie Holiday の生涯を手短な言葉に変換するのは大いに憚られるところだが、仮に昔流行った「実存的」という言葉に置き換えてみると、まさにこのラヂオは、その彼女の人生の在り方、そしてそこから発せられた歌に共鳴出来うる稀有な実存的装置なのではないか?とさえ思えてくる。

  ははは、エライ展開になってきた。でも今日は語っちゃうよ・・・ 

いまどきのオーディオ機器は、いつスイッチを入れても同じ条件で動作する。しかし、この古いラヂオはいつ何時息を止めてしまうかもしれない儚さにおいて自らの存在を示しているのだ。それが Billie Holiday の生き様と深いところで繋がっているような気がしてならない。次の瞬間には音が止まってしまうかもしれない機械・・・聴き漏らすと二度と帰ってこないかもしれない音・・・・一期一会・・・そんな緊張感に包まれる。

それにしても、上記のSANYOラヂオは少しばかり可哀想すぎる。いくらジツゾンがどうのって気取っても、裸じゃ寒すぎる。(というのか、取り扱いが怖いのよね・・・中間周波増幅段の6D6の天辺についているプレートキャップに手が触れた日には、感電してこちとらが昇天してしまう。)

もう少しマシなラヂオを一台紹介して、そろそろ蘊蓄を切り上げよう。写真左は、Tokyo Condor ブランドの豪華な8球スーパーラジオだ。プロが整備したラジオで、こちらはもう半世紀ぐらいは鳴り続けることだろう。
こちらのラヂオ、いまのところ Billie Holiday じゃなくて、Julie London のような sophisticated lady がお似合いの逸品なのだ。


(筆:しろくま)


僕を洋楽の世界に引き戻してくれた美女たち

「しろくまさんなら、きっとこんなのお好きだろうと思って持ってきたんだけど・・・」
そっと差し出されたCDは Sophie Milman ・・・こんなシチュエーションが続けて三度あった。
アルバムはそれぞれ異なっていたけれど、三度共彼女の盤だった・・・ はてさてボクの顔に「Sophie Milman が好きです」とでも書いてあるのだろうか?

そうやってCDを差し出してくれたのはすべて女性だ。どの方も共通して同じ表情をされるのだ。口元にどこか小悪魔的な微笑が漂っている。うーん、この表情、はるか昔にどこかで見た記憶があるぞ・・・音楽のことじゃなくって・・・。(おっとブルっちまったぜぃ)

相手の好みを探りながらそういった話題を持ち出すとき、人はみんな似通った表情をするものだろうか。これを女性にやられると、あなたのお好みはとっくにお見通しよと・・・見透かされているような気がして、ナイーブ・オヤジのボクとしてはドギマギしてしまう。
ましてや、その中身が図星だったりすると、赤面を隠すのにもう精いっぱいになってしまう。

   「ああ、Sophie Milmanね、いいよねぇ彼女、嫌いじゃないよ・・・」

正直に告白しておこう・・・こういう言い方をボクがするとき(そして返答が弱々しくて、伏し目がちな時には特に)、洞察の矢が相当深く刺さっている時なんだ・・・ >ALL

まま、それはいいとして、今日は自分の洋楽愛好遍歴をちょっとだけ書きたくなった。ここまで見透かされているんなら、先に自分のこと書いちゃえっていう一種の居直りだねぇ。

僕のことを5年以上知っている人だったら、このオヤジ、昔こんなに音楽、音楽って言ってたっけ?と訝(いぶか)っておられることと思う ・・・ たしかにそう。この30年ほどは、仕事中心の毎日、趣味も別の世界をあちこちかじる程度で、音楽世界とは「付かず離れず」のスタンスだった。

3年ほど前に、あるきっかけがあって地元のFM放送局へ出入りするようになった。そして、ひとつ番組やってみない?との奇特な提案を受けて、オールディーズの名曲を紹介する小さな音楽番組を担当することになった。昔とった杵柄で勝負じゃあ!と意気込んだのはいいが、知識も記憶も錆ついて役には立たず、もう一度、50年代〜80年代あたりの洋楽を聴き漁る毎日を始めてしまった。心はもう完全に teen ager にフラッシュ・バックしていた・・・ラジオにかじりついて洋楽を聴きまくっていたあの古き良き時代に。

そんな中で、特に僕の心を捉えて離さなかったのは女性ボーカルの数々だ。それは Basia であったり、Chaka Kahn であったり、Vanessa Williams であったりした。もちろん、ジャズを本命とする脈絡が自分の中にあるから、Diana Krall なんかも当然このラインに入ってくる。


そうそう、Corrs なんかもよく聴いたなぁ・・・・。

ブログの読者はもうお気付きだろう・・・いずれも別嬪さんばかりだ。懐かしき洋楽の世界とか言いながら、音はもちろん楽しむけれども、目の楽しみも忘れちゃいけない。

その中で、ひと際ハマったのは Sade(シャデイ) だった。ご存じのように Sade は80年代にUKで活躍したグループの名称であるが、Voの Sade Adu の存在感があまりにも大きかったので、いつからか Sade って言えば彼女のことになってしまった。

Youtube にもたくさん素敵なビデオ・クリップがあるので、彼女のことを知らない人達にもぜひ観てもらいたいのだけれど、中でも僕が大好きな曲はこれ・・・・↓

Nothing can come between us 
http://www.youtube.com/watch?v=JCGTX-og7kk

最後に、手元にあるお宝(ってほどでもないか・・・)をご披露しよう。80年代に大ヒットした彼女の Smooth Operator のシングル(ドーナッツ)盤。

日産自動車がTV-CMのBGMで流していたのを見て懐かしくなり、押し入れの奥をごそごそやって引っぱり出してきた一枚。(ちなみにCMのBGMでかかっていたのは Sade ではなくBasia のカバー・バージョンだったが・・・)

はい、というわけで今回はほとんど Jazz の話は出てこなかったかれど、冒頭の話題にひっかけて自分の音楽愛好遍歴というかバックグラウンドの一端を書き連ねてみた。・・・趣向の告白ができたので、もう美女ボーカルのCDをいきなり差し出されても赤面しなくなる・・・かなぁ(笑)。


(記:しろくま)



春は「Waltz For Debby」でたわむれる。+4(デラックス盤)

 はい。前回は素晴らしい盛り上がりで「Milestones」で有終の美を飾った「Waltz For Debby」ですが、1999年に「+4盤」が出たおかげで僕は少しがっかりしました。

これさぁ、リマスターしたから、なんでもかんでも未発表曲をぶち込んじゃうのは作品としてのオリジナリティが損なわれて、本人のビル・エバンスにしたら、「俺のいない間に勝手なことやりやがって…」みたいな。


ゆううつですよ。憂鬱。

この盤の曲順は実際のライブでの演奏順ではなく、制作者のOrrin Keepnewsが決めた順番だそうですが、最後の「Porgy (I Loves You, Porgy)」だけはいまひとつしっくりしません。

極端に落差があり過ぎなんだよね〜。そうスムーズじゃない。まあ、アンコール的なノリでなら全然いいいんだけど(笑)

そこで、「Milestones」▶「Porgy (I Loves You, Porgy)」の曲間に+4曲挟んでみます。


つまりですね、こちらも「Waltz For Debbyでたわむれリミックス」+4 です。

んじゃ、さっそくいってみようか!

 

Milestones/Bill Evans Trio▶素敵な午後は/山下達郎/IT'S A POPPIN' TIME - 収録



はい。この観客の拍手が見事につながりましたね〜。まるで、「ここでゲストで山下達郎さんに来てもらいました〜(拍手)。お忙しい中ありがとうございま〜す〜」みたいな〜(笑)突然日本語で唄われても全然通じませんね〜(笑)

1978年の六本木PIT INNでの録音ですがこれもまたマッシブに素晴らしい録音です。ビルの解体が決定して2004年に惜しくも閉店しましたが、当時ピットインのスタジオのビルの上には今は無きSONY 六本木スタジオがありまして、ライブ録音となると上部のスタジオに直結できるわけでして環境にも最高でした。

何十年も前に僕はここでバイトしていました(笑)。時給700円。しかも飯付きです。生のバンドも見放題。こんな環境、どこを探しても今はありません。当時はちょうどJAZZとFUNKが交錯していったアシッドジャズ繁栄期で、出場するミュージシャンはみんなよくカバーしてましたね〜。US3とか…(笑)

当時さぁ、渡辺香津美とアルディメオラのDUOの公演があったんだけど、アルディメオラなんて名前知らなくて、出勤したときに、偶然PIT INNの前で彼がタバコ吸っててさぁ、「1本下さい」ってタバコもらったの。相手がアルディメオラ(笑)確かセーラム・ライト吸ってたっけ。

アルディメオラはセーラム・ライト。

セーラム・ライトはメンソール。

メンソールは速弾き(笑)。

ささ、次いこうか。


 

Floating Through Space/Lonnie Liston Smith/Loveland - 収録▶Vad du ser är vad du får/Lisa Nilsson/Till Morelia - 収録

フローです。浮遊感と漂流に満ちています。もうふわふわ〜って。なんかもう「Undercurrent (Bill Evans & Jim Hall)」のアルバムのこんな感じね。


もうほとんどコードが進行しないって言う浮遊感と漂流が交錯します。多分、海の底ってこんな感じなんでしょう。

しっかしこの女性? 死体なのでしょうか?まっさか〜(笑)

はい。次です。


いきなり北欧に飛んじゃいますが…(笑)「Vad du ser är vad du får」なんと発音するのでしょうか?歌詞中では「バーデュセー・エバルフォー」とか言っていますがよくわかりません。ぼくにはなんとなくこんな感じに聞こえます(笑)


ある朝、目が覚めたら
家具がほしくなったよ

確かあの机 ママが小学生の入学のときに買ってきてくれた机
もう何十年も使ってるお気に入りの机

でもそろそろ くたびれてきているから買い直さなくちゃ
ママと私との思い出の机
でもそろそろ くたびれてきているから買い直さなくちゃ
ママと私との思い出の机

そうだ IKEAに行こう=「Vad du ser är vad du får」

そうだ IKEAに行こう=「Vad du ser är vad du får」

そうだ IKEAに行こう=「Vad du ser är vad du får」

IKEAに行って新しい机を買おう
IKEAに行って新しい机を買おう
北欧のデザインは素晴らしいよ
北欧のデザインは楽しいよ


誰かきちんと翻訳してください(笑)


 

Feel Like Makin' Love/D'Angelo/Voodoo - 収録▶Porgy (I Loves You, Porgy)/Bill Evans Trio

いまままで数多くのアーティストにさんざんカバーされてきましたがもうこれで完全に終止符を打ちました。誰もこのノリはまねできね〜だろうな〜。
リズムがなんか遅れてるのかはしっているのかもよくわからないのですがかなり揺れていることは間違いありません。バスドラの音がけたたましくヒットしますが、BASSは何か後ろでゴソゴソやっている感じです。でも強烈にグルーヴしています。しかもこのテンポですよ。D'Angeloもとんでもないリズム感ですね〜。

回転寿司でいえばさぁ、ドラムはこう、目の前でにぎってくれてるオッサンなんだけど、数量が多いと裏でアルバイトとかににぎるのまかせちゃってる感覚ね。BASSは裏方さんみたいな。まあ、一概にはいえないけど、カウンターのオッサンは威勢だけはいい(笑)やっぱり回転寿司はスシロー。

なんの話してんだっけ?(笑)


これだよ、これ。びっくりしちゃいますね。この静けさ。これさぁ、メトロノームつけて聴いてみようかあ?多分ないよ。律動そのものが…。でもビル・エバンスにはあんだろうなぁ。ターム感が。ちゃんと節々にメロディーがつながってる。
この演奏だけ聴いてたら最高だよね。たださぁ…「Waltz For Debby」に付けたしちゃったらダメ。マイルスの「ROUND ABOUT MIDNIGHT」のデラックス盤にジャケットに目かいちゃったような感覚にちかいよね。蛇足だ、蛇足。JAZZ=蛇頭か??

これ、Steely Danのアルバムだったら「告訴」もんですな。


うったえてやる〜!や〜!みたいな〜(笑)

はい。という事で、今日はこの曲でお別れしましょう。



Through The Fire/Chaka Khan/I Feel For You - 収録

愛は炎の中をくぐりぬけて〜

次回は「フライディ・チャイナタウン/泰葉の徹底分析」です(笑)なんつって〜(笑)

(筆:大友)


春は「Waltz For Debby」でたわむれる。

もうすぐ春です。春がくるというのを英語で表現すると、「SPRING HAS COME」といいますね。

直訳すると「バネ持って来い!」

まあ、この話はどうでもいいとして、春になると僕は無性に「Bill Evans Trio/Waltz For Debby」が聴きたくなります。でも普通に聴くのはそろそろ飽きてきました。

そこで今日は、もっと楽しくこのアルバムを聴くためにオープニングの「My Foolish Heart」からエンディングの「Milestones」までにいろいろと「寄り道」しようと思います。

そうすると魔法がかかったように1曲・1曲が映えてきます。


名付けて「Waltz For Debbyでたわむれリミックス」

Bill Evansにダメだしされないようそこんとこ原曲の流れに忠実に進行しようと思います。まぁ脱線してもいいんですが…

んじゃ…いってみようかっ!



 

My Foolish Heart/Bill Evans Trio▶Waltz For Debby/Bill Evans Trio

この曲さあ、もう2曲でひとつみたいなとこがあって、切っても切り離せないところがあります。いってみれば「My Foolish Heart」がおもっいっきり長いイントロであって、ようやく本題の「Waltz For Debby」にはいる感じ。長〜いトンネルを抜けたらそこは雪国。イントロが超長くて、メロディーに入るまで1分8秒もかかる「マツケンサンバ」のノリみたいな(笑)


 

Pizzicato Five/Shopping Bag/Overdose - 収録▶Ev'ry Little Bit/Millie Scott/Love Me Right - 収録

ここから少し寄り道。たくましいBASS音が響き渡ります。いいですね〜ぇ…♪

恋人がいなくてもわたしはそんなにこまらない〜
恋人がいなくてもわたしは恋をするけど〜

ここさあ、「恋はするけど恋人はいらない」じゃなくて「恋人はいらないけど恋はする」ってのがグッときます。
「お腹へったけどドーナツはいらない」じゃなく「ドーナツいらないけどお腹へった」みたいな(笑)

はい。つぎいこっ。


Ev'ry Little Bit/Millie Scott/Love Me Right - 収録

ん〜ッ…非常にチープクリスタルです。

しっかしアイランドレーベルさん。このさあ後半のサックスソロどうにかならなかったですかね〜。メロディーは最高にいいんだけど、プレイヤーがなかなかのヘタクソです。予算値切ってその辺のミュージシャン使った感じまるだしじゃん。もうちょっと予算枠とってケニー・ギャレットあたりに吹いてもらったほうが名演になってたみたいな〜(笑)


 

Short Count/Lee Morgan/The Sixth Sense - 収録▶Josie/Steely Dan/Aja - 収録

ひえ〜っ。ひゅ〜カッチョイ〜!

Lee Morgan、Jackie McLean、Cedar Walton、Billy Higgins等によるセクステット。「The sixth sense」とか「Psychedelic」とかいろんな名曲あるけれどなかでもこれがいっちゃんカッコいい!このアルバムが発表されたのって確か1970年。Lee Morgan…60年代から全然変わなんないですね〜。Lee Morganてほんとモダンジャズ一辺倒なところがあって最初から最後までどこも寄り道しませんでした。老舗のたれは継ぎ足し継ぎ足ししてますっ! その道40年の職人の変わらない味みたいな〜(笑)

はいっ!次っ!


Josie/Steely Dan/Aja - 収録

もうこのサウンドがさあ…限りなく0%に近いくらい無駄な皮下脂肪全部とりましたって感じですね〜。このジャケット、最初見たときに何かわかんなくてよく見たら人間で、日本のモデル界の先駆け的存在の山口小夜子で…「Aja」ってさあアジアって意味ナの?

ず〜と「Aja」って「赤」って意味かと思ってましたね〜。
Aja=エイジャ=アジア? ちょっと無理あるみたいな〜(笑)



 

Da Cor Brasileira/Joyce/Feminina- 収録▶Detour Ahead/Bill Evans Trio

ここでボサノバに寄り道して、どこで油売ってんだって感じで無事に軌道修正。下手すればあやうく道に迷ってアダルトオリエンタルロックの森に行ってしまうところでした。(すかさずボズ・スギャッグスとかに行きたいのですが)ようやく3曲目に到着しました。スムーズですね〜。この曲のつなぎ目が、午後のひととき=午後の紅茶みたいなサウンドです。夕暮れまであとすぐです。


 

愛にさようならを/The Carpenters/A SONG FOR YOU - 収録▶ゴロワーズを吸ったことがあるかい/かまやつひろし/あゝ、我が良き友よ - 収録

実に見事です。おそらく私的に20世紀のPOPS市場最高のハーモーニー。ほんとはさあ「遥かなる影 - CLOSE TO YOU」あたりをもってきたいところなんだけど、あの曲は後半泣いちゃうからボツ。「愛にさようならを」はさあ、後半のギターによる盛り上がりが、もう学生運動の叫びみたいなところがあってとてもいい感じです。学生運動なんて関わってないのに言うなよ〜みたいな〜(笑)

はいっ!次っ!


ちなみにゴロワーズってタバコの事ね。このホーンセクションさあ、実は「Tower Of Power」が演ってて、Tower Of Power feau. かまやつひろし名義でもいいくらいの曲です。タワー・オブ・パワーって言ったら、80年代はヒューイ・ルイス・アンド・ザ・ニュースのホーンセクションだった人たちです。どういういきさつでこのメンツでレコーディングしたのか不明ですが、この曲にはムッシュ以外のボーカルは考えられません。これを橋幸夫とかがやったらやっぱり「恋のメキシカン・ロック」のノリだよなあ〜みたいな〜(笑)



永遠に/吉田美奈子/FLAPPER - 収録

はい。唄うドラムとは何か?というのを絵に描いたような曲です。ハイハットとバスドラとタムがまるで生きているかのように歌声に呼応します。普通の人がこれをやったら、すぐに喧嘩してしまうでしょう。楽器のテクニックも重要ですがそれぞれの楽器が唄っている神がかりな曲ですね〜。いうよね〜みたいな〜(笑)

はいっ!ネ〜クッスト〜!(アメリカのマクドナルドの販売員風に)



 

My Romance/Bill Evans Trio▶Some Other Time/Bill Evans Trio

はい。非常に音数の少ない2曲です。しかし非常に美しい。なんなんでしょう。「間」でメロディーを構築している感じです。「Some Other Time」なんてもう小節の節目が全然わかりません。律動の壁がないこのタイム感。メトロノームが確実に頭の中に埋め込まれています(笑)。


 

Nights Over Egypt/The Jones Girls/Get as Much Love as You Can- 収録▶A Night In New York/Elbow Bones & The Racketeers/NEW YORK AT DAWN - 収録

「ナイト・オヴァー・エジプト」…直訳すると「エジプトの向こう側」本格的アラビアンナイトですねえ〜。山口百恵さんの歌にも「さよならの向こう側」というのがありましたが全然曲調が違います。ナイツオバッイジュッ!ナイツオバッイジュッ〜!と「 Egypt」の発音が……本当にこの発音で正しいのでしょうか(笑)

そろそろこのあたりで盛り上がっていきたいのですが…ミヒマルGTとか…AKB48とかいってみようか!「逢いたかった〜!逢いたかった〜!逢いたかった〜!イエイッ!」そこいっちゃったらもう軌道修正できないみたいな〜(笑)


爽快です。ビッグバンド風にアレンジにしたご機嫌ポップスの王道をいくこのメロディ〜。舌ったらずさがたまりません。ミュージシャン名も舌を噛みそうな名前です。「エルボウ・ボーンズ & ザ・ロケッティーズ」。アルバム邦題は「ニューヨークの夜明け」ときました。

なんかプロレスの技みたいな名前です。

「決まった〜! エルボウ・ボーンズ & ザ・ロケッティーズ〜ゥ」。みたいな〜(笑)

はい。つぎに行ってみましょう。


 

One Hundred Ways/Quincy Jones/THE DUDE- 収録▶One Hundred Ways/David Sanborn/Straight To The Heart- 収録

オリジナルはクインシージョーンズのオッサンなのですが、サンボーンが調理するとこんな感じです。


なんでしょう。このさわやかさ。スプライトを頭からかぶったような清々しさがあります。邦題はなんだろ?「 Straight To The Heart」=「ハートに直撃」=「おまえにメロメロ」でしょうか?魔法のようなサンボーンのサックスにメロメロです。数あるサンボーンのカバー曲でも最高域に達する名曲です。

このライヴアルバムさあ、マーカスとかサンボーンからもうやりたいように弾いて〜みたい感があって非常に楽しいいんです。でも弾かない。弾くとこだけかっちり弾いてあとはいっかりサンボーンを持ち上げてます。この頃のライブ録音て、会場で録った音に対してホーンとか味付けしててスタジオで再構築してるんです。

この手法はサンボーンより1年早い、83年の吉田美奈子さんの「IN MOTION」にも取り込まれています。


Uptown/吉田美奈子/IN MOTION- 収録

ライブ音源を持ち帰り編集。持ち帰りしたビックマックを家で解体して好きな具を入れて食べる感覚に等しいかも(笑)。ポテトはいつまで平日150円均一ですか?(笑)


このアルバム両方買って1ヶ月くらい毎日聴いてみてください。もうそのへんのフュージョンなんかとても聴けません。
おっと〜!そろそろ佳境ですね〜。おもいっきり違う路線いっちゃおうかあ〜。ほんとはさあ、もっと寄り道したいんだけどさあ。

はい。つぎはこれです。


 

glitter/柴咲コウ/glitter - 収録▶Milestones/Bill Evans Trio

笠井紀美子さんとか余貴美子さんとか柴咲コウさんとか顔立ちが似てますね〜。この三連のリズムにおもわず身体が揺れます。ふわふわ〜とね。なんかメリーゴーランドにのっているような気分です。と思ってたら歌詞にちゃんとメリーゴーランドとでてきました。Bill Evansに始まって、なにかこう遥かなる宇宙を旅して、今までのは全部夢だったのっ?って気分で。Bill EvansにはじまりBill Evansに終わる。みたいな〜(笑)


はい。ラストです。もう文句なしに素晴らしいエンディング。デラックス盤あたりでは「Porgy (I Loves You, Porgy)」が収録されて、にぎわっていますが、あれは黙秘します。

この「Milestones」聴いちゃったらもう他のバージョン聴けません。

このように名盤も寄り道して聴くとまた新たに雰囲気が変わって楽しいと思います。もちろんアルバムにこだわらずに別世界へ移行する聴きかたもあります。「TAKE FIVE/Dave Brubeck」とかたまに聴いてたらハッとしますが、別の曲で繋がれていたりすると「やっぱりかっこええなあ」と改めて認識してしまいます。次は出発曲から決めて、終着曲に向かうまでの「旅」を楽しむなんてドぅ?

「音楽」って不思議〜みたいな〜(笑)

はい。今日はこれでお別れです。「ジャズ」と「POP」の奇跡の融合。

ドナルド・フェイゲンも苦虫つぶした顔になるくらいわかりやすいサウンドです。



The Crusaders/Street Life/Street Life - 収録


さっっ!みんな、踊っちゃってっ!踊っちゃってっ〜。

(筆:大友)



ジャティック・バード編 -- 「おれたちのジャズ狂青春記 ジャズ喫茶誕生物語」

ジャズ喫茶について書かれた本はたくさんある。しかし、その半分は、いわばガイド・ブックのようなものだ。レコードの所蔵枚数だとか、オーディオシステムのラインナップとか、お店のマスターのプロフィールなどが整然と記述されている。

そんな「全国ジャズ・スポット」集のようなカタログ本以外にも、ジャズ喫茶はいろんな風に語られてきた。著者の"ノスタルジック・ジャーニー"をまとめたものもあれば、この日本独自の営業形態を文化人類学的な視点で斬り込むガクモン的なものだってある。

本書の切り口はジャズ喫茶の経営者としての視点である。真っ赤な帯に白抜きで、「全国有名ジャズ喫茶のおやじ33人が綴った笑いとペーソス溢れる青春物語!」という文字が躍っている・・・まさにそのまんまの内容だ。

60年〜70年代のジャズ喫茶に入り浸っていた客としての僕達には、実は、経営者の実像はよく見えていなかった。「ジャズのことならなんでも知っているコワイおっちゃん」に過ぎなかったわけだ。
だが、自分達が当時のマスター達と同じような年齢になり、そしていまだにそこで聴いていたのと同じ音楽を楽しんでいる・・・ここに至って、経営側に立っていた人たちの言葉に耳を傾けることには大きな意味があるだろう。

どんな世界のオーソリティーにも、必ず青二才の時期はある。髭をたくわえ、寄りついていく者を拒むかのような威厳をもっていたマスター達にも、アルトサックスとテナーサックスの違いもわからなかった時代があったはずだ。
本書を読んで、ほっとした気分になるのは、実はその要素なのだ。「なーーんだ、自分達と同じだったんだ!」というような安心感。

ところで全編を通じて綴られているテーマは何か?-- 恐ろしく端的にまとめてみると、時代の流れのなかで絶望的とも思えるその経営の困難さと、それでもジャズ喫茶というスタイルを続けていこうとする意志(というかコダワリ)・・・その相克である。

読者の関心は、この後者=拘りが、前者=時代の流れに打ち勝てるものなのかというその一点なのかもしれない。もっと言えば、仮にそれが"負け戦"のようなものだとして、諦められるような種類の戦いだったのかという点であろう。
これは、分野は異なっても、一生を通じてずっと流れている人生哲学のテーゼなのである。とりわけ、ジャズ喫茶に通いつめていた僕達にとって、その戦い方こそが大問題なのだ。

彼らが出した答えとは ・・・ それは、みなさんがこの本を読んで個々に感じとっていただきくべきものだ。答えが黒でした、白でした、って言えるような問いではないからだ。

ただ・・・

「城は建つまい。財産も残るまい。それでも胸に染み入るようなフレーズに涙し、他人同士がこれほどに相寄れるジャズという音楽こそ、何よりの心の財産だと信じたい。好きなジャズで生きてみようと思い立って以来三十余年、今やっと人生の楽しみ方がわかってきたような気がする。」
(明大前「マイルス」本山雅子)

・・・このあたりを読むと僕は、その「答え」というのではなくて、執筆に参加されたジャズ喫茶マスター達が共通して辿り着ける境地のようなものが感じられてならないのだが。

最後に・・・この本を数々のご苦労の末編集・出版され、私のような者に無償でお送りいただいた"バードtaki"こと瀧口孝志氏に、心から謝意を表したい。90年代の始めには廃版になってしまった書籍だが、何らかの方法で再版を願ってやまない。


(筆:しろくま)


いいとこついてる・・・「女子ジャズ・ブーム」の仕掛け本

80年代の後半、アイドル歌手として活躍していた島田奈美のことを覚えている人はいるだろうか?

嬉し恥ずかし・・・http://www.youtube.com/watch?v=GI9qvsJDKZc ・・ってな曲を歌っていた彼女だが、90年に突如アイドル歌手を卒業してしまう。そして、島田奈央子の名で、「CDジャーナル」や「スウィングジャーナル」などにCD評を書くフリーライターとなるのだ。その彼女もいまや39歳、(お写真見るととてもこの歳には見えないね)、れっきとした音楽ライター、カフェやFMラジオで活躍するDJさんである。

http://www.youtube.com/watch?v=58JlvYfX61Y

彼女の "Something Jazzy 〜女子のための新しいジャズ・ガイド" を初めて手にとったとき、この本は間違いなく売れるだろうなと思った。ジャズという音楽に対する漠然とした憧れを持ち、できればその魅力にどっぷりハマってみたい・・・そう考えている女性は意外に多い。「ジャズがわかる」はいつの時代にも、そして男にとっても女にとっても「オトナである」とニヤリー・イコールの関係で結ばれてきた。この本は間違いなく、そういった層に強烈な訴求力を持つだろう。また、「じゃ、何から聴けばいいのか」と迷い始める次のステップに対して、お洒落で、さほどハードルの高くない選択肢を紹介してくれているようにも思った。

ジャズの入門書は星の数ほど出版されてきた。そしてどの本にも「従来のジャズ入門書と違うアプローチ」という謳い文句が、書籍の帯に踊っているものだ。だが、これを鵜呑みにして本を買った入門者が、そのガイダンスの階段を順当に登っていって、リッパなジャズ愛好家になったなんて話はついぞ聞いたことがない。それどころか、彼らにとってジャズは、「やはり難しい音楽」「楽しめない音楽」で終わってしまうケースがほとんどなのだ。

なぜそんなことになるのか・・・評論家さんたちも、きっとおおよその見当はついているのだろとは思う。しかしどうしても、彼らには捨てられない何かがあって、それが真の意味での入門書執筆を妨げているのだ。僕にはその正体、言い換えるとジャズ評論化さん達の「屈折した心理」とか「拘り」というようなものが何となくわかっている気がしているのだが、これに関する考察はまた項を改めてじっくり書いてみたい。

いずれにせよ、彼女には、ジャズ入門の敷居を結局のところ高くしてしまうそのあたりのヤヤコシイ部分がほとんどないのだ。

どれどれ・・・彼女のお勧めCD、一発目は何かな? そうか Michel Petrucciani の "Trio In Tokyo" から持ってくるか ・・・なかなか切れ味のよい直球勝負できたな。二投目は Esperanza Spalding の "Esperanza"ねぇ。流行は流行として、照れることなくサラッと紹介してしまうところがいい。
 
ジャズレーベルの紹介も、BLUENOTE、RIVERSIDE から始めるのは順当として(礼儀でもあるよね・・・)、次のステップでECM を紹介したと思うと、GRP、そして締めは SCHEMA とつないでしまう。クラブ系、ヨーロピアン・ボッサ、ごく最新のJJAZZなどが、Miles Davis や John Coltrane と同列で並んでいるあたりを読んでいくと、評論家先生方の苦虫を噛み潰したような顔が浮かんできて、逆に小気味良い。

もちろん、著者もいろんな盤をよく聴き込んでおられるみたいだし、汲み尽くせぬジャズの魅力の代弁者たろうと努力している様子がよくわかるから、こういったアプローチの入門書に戸をたてる評論家がもしいたとしたら、「じゃ、オンナ・コドモはジャズを聴いちゃいけないのか?」といったヒステリックな感情論も含めた批判を浴びて、自らの首を絞めることになるだろう。

そういう意味で言えば、この本のタイトルはなかなかにシタタカだ。「だから、Jazz入門書としないで、Something Jazzy(何かジャズっぽいもの)としてあるのよ」・・・ここまで言われた日には、誰もなんとも言えません。

http://news.walkerplus.com/2010/0227/10/ によれば、今年は"女子JAZZ元年"なんだそうだ。Tower Records のプロモーションから生まれたキャッチ・フレーズのようだが、あきらかに一つのジャズ聴きのムーブメントが起きつつあるのは事実だし、彼女の本がその牽引役を果たしていることもまた事実のようである。


(記:しろくま)




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